SSL(https)対応は、今やWebサイトの信頼性と安全性を支える前提条件のひとつです。しかし、SSL化はただ導入すれば十分というものではありません。証明書の種類の選定や、httpとhttpsが混在していないかといった細かな調整を怠ると、ユーザーの離脱や検索順位の低下にもつながりかねません。
本記事では、SSL証明書の適切な選び方、運用時に見落としやすい混在コンテンツの注意点、そしてSEOへの影響まで、実務の現場で役立つポイントをわかりやすく整理して解説します。
SSL(Secure Sockets Layer)とは、インターネット上でやり取りされる情報を暗号化する技術のこと。現在はより進化したTLS(Transport Layer Security)が主流ですが、一般的には「SSL」と呼ばれています。
SSL化されたサイトは、URLが「https://」で始まり、通信が暗号化されている状態になります。これにより、ユーザーが安心してフォーム入力や決済を行えるようになります。SSL化されていないサイトは「保護されていない通信」などの警告が出ることがあり、信頼性の面で不利になることも。さらに、SSL化はセキュリティだけでなく、サイトの信頼性の向上、検索エンジンでの評価、離脱率の改善といった面でも重要です。
SSL証明書にはいくつかの種類があり、それぞれに取得方法や審査基準、そして費用の面でも違いがあります。サイトの目的や運営体制に合わせて、適切なものを選ぶことが大切です。
■ ドメイン認証(Domain Validation/DV)
もっとも手軽で、一般的に費用も抑えられるタイプの証明書です。申請時の審査が簡易なため、個人サイトや情報発信が中心のページなど、小規模なWebサイトに多く使われています。企業情報の表示はされないため、一定以上の信頼性が求められるケースでは注意が必要です。
■ 企業認証(Organization Validation/OV)
企業の実在確認を含む審査が行われる証明書で、コーポレートサイトやサービス紹介ページなどに適しています。証明書情報に組織名が記載されるため、閲覧ユーザーに対して一定の信頼感を与えることができます。
一方で、取得には多少の手続きが必要となり、費用もDVと比べて高めです。中小企業のWeb運用では、信頼性と費用対効果を見極めながら導入を検討することがポイントとなります。
■ 拡張認証(Extended Validation/EV)
最も厳格な審査を通じて発行される証明書で、金融機関や大規模なECサイトなど、特に高い信頼性が求められるケースに向いています。企業としての本気度やセキュリティ対策の姿勢を示すうえでは有効です。
証明書選定の目安(用途や信頼性の要件に応じた一例)
情報提供を主とするサイトや、ブランド発信に注力するコーポレートサイトなど
→ コストを抑えつつ、基本的な暗号化を実現できる「ドメイン認証(DV)」が選ばれるケースが多くあります。
問い合わせフォームや資料請求フォームなど、ユーザーからの情報入力を伴うビジネスサイト
→ 組織情報の確認を含む「企業認証(OV)」を導入することで、より一層の信頼性を担保できます。
決済・個人情報の取り扱いが中心となるWebサービス、または業界内で高い安全性が求められる分野(医療・金融等)
→ 企業の実在性と厳格な審査を通じて発行される「拡張認証(EV)」が適している場合もあります。
SSL化を行ったつもりでも、ブラウザ上で「保護された通信」と認識されないケースがあります。
その原因の多くは、ページ内にhttpのまま読み込まれている画像やスクリプトなどが含まれている、いわゆる「混在コンテンツ(httpとhttpsの混在)」によるものです。
たとえば、ページ自体はhttpsで表示されていても、画像やスクリプト、外部サービスの読み込みがhttpのままだと、ブラウザは「安全ではないコンテンツがある」と判断します。これにより、ページ全体の信頼性が損なわれることになります。
■ 混在コンテンツのチェックポイント
・外部CDNやフォントの読み込みURL
・テーマ内の画像・CSS・JavaScriptのURL指定
・固定ページ内の「http://〜」で始まるリンクや画像タグ
■ 対策方法
・リソースのURLはできるだけ「//example.com」のようなプロトコル相対URLに変更
・CMS(例:WordPress)では、プラグインなどでURLを一括変換
・サーバーでのリダイレクト設定(http → https)も必須
SSL化は「設定して終わり」ではなく、「混在コンテンツを解消して初めて完了」と言えます。運用中も定期的なチェックが重要です。
Googleは2014年以降、「https化されたサイトは検索順位の評価においてプラス要素となる」と公式に発表しています。つまり、SSL化はSEO施策の一部として位置づけられています。
もちろん、コンテンツの質やモバイル対応など、他にも多くの評価基準はありますが、同等の内容であればSSL対応済みのサイトの方が有利に働くことがあります。
さらに、SSL対応によって:
・「安全なサイト」という印象を与え、離脱率が下がる
・フォーム送信時の安心感が高まり、完了率が上がる
・リピーターや紹介にもつながりやすくなる
といった間接的な効果も期待できます。Webサイトの集客力を高めたいと考えるのであれば、SSL化の再確認は避けて通れません。
SSL化は、今やWebサイトにとって欠かせないインフラのひとつです。しかし、単に証明書を導入しただけでは十分とは言えません。
運用中のページやコンテンツでも、混在コンテンツが発生していないか、リダイレクトが正しく設定されているかを定期的にチェックすることが大切です。
また、証明書の種類によって、信頼性やブランドイメージに与える印象も変わります。企業としてどのような情報発信をしていきたいのか、その目的に応じた選択をすることが、これからのWeb運用には求められています。
SSLはセキュリティ対策であると同時に、企業の姿勢や信用力を示す重要な要素です。適切な設定と継続的なメンテナンスで、より強固なWebサイトを築いていきましょう。
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